社会福祉法人 富士育英福祉会 岩松保育園

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園長のひとりごと#16 3月31日と4月1日の間

2024年03月05日

 早いもので、今年度も残すところ1ヶ月となりました。1年を通して、子どもたちの成長を保護者の皆様と一緒に見守り育ちを共有できたことは、私たち保育者として何よりの喜びです。この1年、子どもたち1人1人がそれぞれのペースでぐんぐんと成長してきたなあと感じます。新しいスタートに向けて援助をしながら、残り1ヶ月も楽しい毎日を送れるように関わりを大切にしていきたいです。
 思い返せば、今年度も様々なことがあり、たくさんの喜怒哀楽に出会えた気がします。皆さまにとってはどんな1年だったでしょうか。私におきましては園長就任一年目となった今年、何から何まで分からないことだらけ、初めてのことだらけでしたが、その分、一つ一つがとても新鮮で充実した一年となりました。
 よく「大人は時間の流れが早いと感じる」という話を聞きます。この感覚、実は気のせいでは無く、多くの人が共通して感じているもので、これについての様々な研究もされているようです。老人の1年と赤ちゃんの6日間は同じ感覚だという一説もあります。実際に私も、大人になってから1日1日があっという間に終わり、1年過ぎるのが本当に早いなあと感じていました。3月になると卒園式の準備をしながら「もう一年が終わるなんて本当に早いね」なんて、先生たちと話すことも恒例でした。しかし、今年に関しては真逆で、1日1日が濃く、いい意味で1年が長く感じられました。まるで子ども時代に戻ったかのような、もう2度とこんな感覚は味わえないと思っていたので自分でも少し驚きつつ、そこに嬉しさも混ざり合って、何とも言えない不思議な心地よさに包まれた気で今はいます。失ったと思っていた感覚にも、環境と自分の行動次第でまた再会出来るのだなと、しみじみ思う今日この頃です。
 さて、私の話はこのくらいにして、4月1日からは新年度が始まります。まつ組さんは小学生になって、他のみんなは学年が上がって、クラスの名前もお部屋も変わって、様々な環境の変化がありますね。しかし、変化には敏感で不安になるのが子どもたちです。なので、進級・入学前は、私たち大人は子どもの変化に気を配り、もしも不安があれば和らげてあげることが大切です。進級・入学すると、つい大人も気負って「小学生になったんだから、〇〇クラスになったんだから、これぐらいできるようにならなきゃ」などと思いがちですが、それが子どものプレッシャーとなってしまい、更に不安に陥らせてしまうという事がよくあります。3月31日から1日経っただけで、子どもの出来ること、負える責任がいきなり増える事などあり得ません。社会の都合で、3月31日と4月1日の間に区切りがあるだけで、子どもたちが成長の階段を上がるタイミングはそれぞれ違います。20歳になれば全員が立派な大人になれる訳ではないのと一緒で、進級すれば無条件に成長するわけではありません。
 子どもが成長していく為には、目の前のやるべき事を少しずつ重ねていくしか方法はないと私は思います。大人は「将来こんなふうになってほしい」と、つい遠くの未来だけをイメージしがちですが、未来とは毎日の積み重ねでしかありません。昨日を積み重ねて今日になって、今日を積み重ねて明日になって、明日を積み重ねてやっと未来になっていきます。
 そんな毎日の積み重ねは、地味で、大変で、やる側も見守る側も根気が必要です。しかし、子どもがそんな日々を積み重ねていく様子を、近くで見られることは本当に楽しい。成長が分かった時は、この上ないほどに嬉しいものです。子どもが大きくなっていけば、子育ての仕方、大人の寄り添い方も当然変わっていきます。もしかしたら、子どもの成長を間近で感じられる子育ては、今しか味わえない貴重な時間なのかも知れません。

                                    園長 後藤大周

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