園長のひとりごと#39 子どもの「自ら成長する力」を信じて

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 何かの制作活動を行う場合、大抵先生達は何色かの紙やペンを用意して「好きな色を選んでいいよ」と言います。すぐお目当ての色を決める子もいれば、なかなか決められない子もいます。お部屋の環境も、趣味嗜好が異なる子どもたち一人一人に対応できるよう、出来るだけ色々な遊具(おもちゃ)を置いています。その中で、子どもが何を手に取って、この時間に何をするのかを、自分で考えてもらっています。「自分で考え、自分で行動し、自分で責任をもつ」これは当園の保育目標ですが、この保育目標を実現するためには、子どもたちが自分自身をどれだけ信じられるのかが大事になってきます。
 自分で悩んで自分で決める。そんな経験の積み重ねが自信となっていくのだと思います。自分の中の根底に自信があれば、自分で悩める人、自分の行動に責任を持てる人になっていけますし、それこそが真の自立だと私は思います。どんな学校に進んでもどんな仕事に就いても、有名になってもならなくても、子どもたちが自分で決めた、尚且つ周りが納得するような道だったら、どんな道であってもいいと私は思います。園長として、そこに対するこだわりやリクエストはありませんが、自分で悩めて、自分の行動に責任を持てる、そんな人に、園のみんなにはなって欲しいと切に願っています。
 そんな将来の為に、私たち大人が今気をつけなければいけない事は“すぐに正解を与えすぎない”ということですね。泣いたらすぐお菓子を渡す、癇癪を起こしたら大人がすぐに謝ってなだめる、要求されればすぐにスマホを渡してYouTubeやTikTokを好きなだけ見せる。こんな事を繰り返していけば、子どもは“自分”ではなく“他人”に頼り、悩み事やトラブルなど、物事の原因を“自分の内側”で解決しようとせずに“自分の外側”のせいにするクセがついてしまいます。子どもが困った時、何かをしてあげることは本当に簡単です。しかし、その手助けが子どもの為になるかどうかは、その都度考えなければいけません。
 人は生まれながらにして「自ら成長する力」を備えていると言います。その力を上手に発揮出来るように、励ましながら「信じて、待つ」ことが大切です。子育てって、教えることより信じて待つ力が試される時間なのかもしれません。そしてそれが、「どこにいっても折れない子」を育てる、いちばんの近道なのかもしれません。

  園長 後藤大周