園長のひとりごと#38 夏の終わり

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 9月上旬、暦の上ではもう秋ですね。まだまだ真夏の暑さですが、いつの間にか蝉の声は消えていて、園庭にあった大型プールの解体も先日終わりました。秋の訪れは、まだあまり感じられていませんが、夏は少しずつ終わりを迎えているようです。森山直太朗さんの「夏の終わり」という曲を皆さんご存知でしょうか。タイトル通り、夏の終わりの切なさがどこか懐かしいメロディで、毎年この時期になると聞きたくなる一曲です。他にも、井上陽水さんの「少年時代」や久石譲さんの「summer」、ZONEの「Secret base〜君がくれたもの〜」などを聞くと、子ども時代に味わった夏の思い出が蘇ってくるようで、胸がキュッとなるような不思議な気持ちになります。
 子どもにとって、夏は特別な季節なのだと思います。最近の夏といえば暑さばかりが話題に上がりますが、私が幼少の頃に感じた夏は、その楽しさに胸が踊り、夏の終わりには寂しい気持ちになるような、何だか特別なものでした。あの夏たちが、感情のグラデーションの幅を広げてくれた気がします。また、あの感情に会いたいなあと思ったりもしますが、きっと感受性豊かな子ども時代だからこそのものなのでしょうね。子どもたちもまさに今、いろいろなことを感じているのだろうと推察します。人は「感情を揺らされたときに成長する」と聞いたことがありますが、ワクワクしたり、ソワソワしたり、驚いたり、夢中になったり、怖くなったり、切なくなったり・・・夏は感情を強く揺さぶる、後の人生に残り続けるような思い出が生まれる機会が多くあります。そんな感情との出会いは、子どもたちのアイデンティティや人間関係、価値観に深い影響を与えます。今年も、園内でいろいろな夏の遊びをして、みんなでたくさんの夏を味わいました。子どもが「何を、いつ、どう」感じるかは本人達の自由なので、大人がコントロール出来ることではありません。あくまで、私たち大人は感情の揺さぶりの先にある成長を願う事しかできませんが、どんな時代であっても、子どもたちに多様な経験の場は作ってあげたいなと思います。夏の記憶がただ暑かったというだけでは悲しすぎます。
 この夏、彼らが出会ったであろう沢山の感情で自分を彩って、そして、感受性豊かな情緒深い人になって欲しいなあと願っています。

  園長 後藤大周