社会福祉法人 富士育英福祉会 岩松保育園

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園長のひとりごと#20 コミュニケーション能力

2024年06月04日
 「退職代行サービス」という言葉を最近よく耳にします。新年度が始まってまだ2ヶ月あまりですが、本人に代わって企業側に退職の意思を伝える「退職代行」のサービスを行う会社には、入社まもない新入社員からの依頼が相次いでいるそうです。インターネットの普及で社会的にコミュニケーション能力が低下し、人との関わり合いが希薄になったことが、サービス普及の一因と言われているようです。私個人としては、退職代行のサービス自体を善とも悪とも思いませんし、いつの時代もコミュニーション上手な人と苦手な人はいるので、時代よりも個人の問題かなと思います。ただ、いつの時代もコミュニケーションのやり方を間違え続け、それによって家庭や学校、職場など様々な場面で生きづらさを感じている人はいます。
 コミュニケーション能力は、乳幼児期に特に育みたい力の一つですね。勘違いされがちですが「おしゃべりな子」=「コミュニケーション能力が高い」ということではありません。コミュニケーションとは意志や感情などを伝え合うことなので、一方的に自分の話ばかりしているのであれば、相手との意思疎通が出来ているとは言えません。自分の意思や感情を言葉などでわかりやすく表すだけではなく、相手が伝えたいことをきちんと理解することも大切で、その両方ができて初めてコミュニケーション能力があると言えます。「伝え合う」という事が一番大切なのですね。保育園では、様々な年齢の子や大人とコミュニケーションをとる機会が豊富にあります。多様な人と話し、多様な価値観に触れる経験が、社会的なスキルの発達を促していきます。ただし、それは親と子の間で十分なコミュニケーションがあるという土台があるからこその話です。
 まずは、親子でじっくり、ゆっくりコミュニケーションを取る時間を大切にしてみて下さい。まだ言葉が話せない0歳児さんでも、相手の伝えたいことを理解し、それに対して何かの形で投げ返す事は出来ます。言葉を話せるようになると、さらにやり取りは楽しいものになりますね。お父さん、お母さんが、自分のために何かを伝えてくれている、そして、自分が伝えたものを受け止めて理解しようとしてくれる。子どもにとって、こんなにも嬉しいことはないと思います。テーマパークや映画館に行くことよりも、こういったやり取りに囲まれている毎日の方が、子どもにとってはよっぽど幸せで、価値のある事なのだと思います。

  園長 後藤大周

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