社会福祉法人 富士育英福祉会 岩松保育園

  • サイトマップ

文字の大きさ

  • 小
  • 標準
  • 大
  • ホーム
  • 園長のひとりごと#10 秋

園長のひとりごと#10 秋

2023年10月03日

 この前まで夏真っ盛りだったのに、気づけばもう10月です。園では、季節ごとの行事、自然の移り変わりを子どもたちが感じ取り、楽しむことを大切にしています。
 夏の暑さも去り、吹く風が心地よい秋は外遊びに適しています。気候が安定していて過ごしやすい日が多いので、読書や音楽、美術、演劇などの芸術活動に没頭しやすい季節でもあります。自然に目を向ければ、夏のあいだは緑色をしていた葉っぱが黄色や赤に変わり、その彩りの美しさは子どもの「色彩感覚」を培ってくれます。どんぐりや松ぼっくりなど、子どもたちの興味や好奇心を掻き立てる木の実も、公園や街路樹の脇に見つけることが出来ます。
 そんな絶好の季節にこそ、親子で外に出てその素晴らしさを体感して欲しいと思います。デジタル社会を生きる今の子どもたちにこそ、自然と触れ合い、豊かな感性を育んでほしいのです。
 近年、親子で過ごす時間、コミュニケーションを取る時間の割合が、ゲーム、SNS等のデジタル空間、テーマパーク等の非現実空間に偏っているところは教育者の立場からすると少し気になります。私自身、ゲームやSNSを利用することもありますし、テーマパークの楽しさも十分に分かります。しかし、人間が作り出したそれらの非現実世界が「リアル」な自然に勝ることは出来ません。自分の手で自然に触れてみれば、驚きや発見、喜びや感動、違和感や嫌悪感など、さまざまな感情を呼び起こすことができます。また、自然をなめれば痛い目にも遭います。人間が都合よく作り出した世界とは違い、思い通りに、何のストレスもなく、いつも心地良さだけをくれたりは絶対にしません。気を付けなければ怪我もするし、嫌な思いもします。自分のちっぽけさを自覚することもあるでしょう。しかし、そんな一つ一つの、一見不快にも思える経験が、等身大の自分を理解することにつながっていきます。また、その不自由さが子どもたちの好奇心を掻き立て、遊びに没頭させたりもします。心地の良い非現実世界に浸かっているだけでは、本当の自分の姿、世の中の形を理解することは出来ません。むしろ、自分や世の中を勘違いしたまま大人になってしまう可能性すらあると思います。一年で最も五感が研ぎ澄まされるこの季節に、自然の色彩を目で見て、澄んだ空気を肌で感じ、秋ならではの食べ物を味覚と嗅覚で楽しむ。そんな人間らしい、生きていることを実感できるような体験を、子どもたちにはたくさんして欲しいと思います。
 是非、親子で秋を味わってみて下さい。

 

  園長 後藤大周

ページトップへ