社会福祉法人 富士育英福祉会 岩松保育園

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園長のひとりごと#5 5類移行と免疫力

2023年07月03日
 新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、5類に移行して早2ヶ月、生活の節々で、やっと日常が戻ってきたなぁと感じることが多いです。子どもに素顔を見せながらお話ができる事、気兼ねなく外食ができる事、コロナ前では意識もしていなかったそんな一つ一つが、今ではとても嬉しいです。一方で、気になるニュースもあります。5類移行後、子どもの風邪が全国で急増しているようなのです。国立感染症研究所の発表(6月6日)によると、夏風邪の一種であるヘルパンギーナの患者数は移行前の5倍、RSウイルスは2倍の数に昇っているそうです。コロナ禍では感染症対策の徹底がされていた為に、様々な感染症の流行が抑えられていましたが、その代償として子ども達の免疫力が低下した事が影響しているようです。
 子ども達の成長を援助する身として日々感じることは、安全と成長は表裏一体、同じようで実は相反するところがあります。例えば熱中症の問題、国内では毎年1000人近くの死亡者数を出している熱中症は、体温調節の難しい高齢者と子どもは特に注意が必要です。「それなら、夏は外遊びをしなければ熱中症にならないから、毎日お部屋で遊べば安全じゃないのか?それが子ども達にとって一番いいのではないですか?」そんなことを言う人がいるかもしれません。子どもの“安全”だけを考えれば、それがベストな方法だと思います。しかし、子どもの“成長”を考えればこの方法はマイナスに作用します。人間は汗をかくことで体から熱を逃し体温を調節していますが、この体温の調節がうまくできなくなると、体の中に熱がたまって熱中症が引き起こされます。なので、熱中症にならない為には汗をかくことがとても重要なのです。しかし、生まれて間もない頃は汗を出す能力が未熟で汗をかけません。暑い環境にさらされたり、体を動かしたりしながら、汗をかく能力を獲得していくのです。しかも、この「汗をかく能力」は生まれてから3歳くらいまでにある程度決まり、生涯変わることはないと言われています。つまり、熱中症を恐れるあまり外に子どもを出さない生活をしていると、逆に熱中症になりやすい体になってしまうのです。
 こういった話は感染症、熱中症だけに留まりません。食べ物と誤飲事故、子ども同士での喧嘩とコミュニーション能力、プールと水難事故等、子どもたちの生活全てに共通する話です。
 大人の役目とは、子どもたちをショーケースのフィギアのように、傷一つつけることなく管理する事ではないはずです。一歩家の外に出れば、危険な事、大変な事がたくさんあります。そんなものとうまく付き合っていけるように、危険なことから自分を守れるように、子ども自身の力を育てていくことが大事なのではないでしょうか。

園長 後藤大周
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